夏休み支援活動報告 2020年度「第15回元気塾ユニオンハート」 特別企画『リフレッシュ保養・コロナに負けない元気塾』

2020年8月8日(土)

◆◇札幌駅北口 エルプラザ前集合・出発

いつもは夏休みの宿題などを持ちよって勉強会を行う元気塾ですが、第15回目となる今回は親子参加形式にして、みんなで出かけてリフレッシュ保養をすることになりました。みみすまでは昨年度まで福島県川俣町の小学校5・6年生の「北海道宿泊学習」を栗山町で実施していましたので、今回の企画も慣れ親しんだ栗山町で行うことになりました。

冬休み以来7ヶ月ぶりに会う子どもたちはそれぞれ皆大きく成長しました。初参加の小学1年生が2名。数年ぶりに参加してくれた子はもう中学3年生。そして今回もOB社会人のK君が参加してくれました。保護者はお母さんだけでなくお父さんも参加されたのでにぎやかなメンバー構成になりました。

全員が乗車前に検温チェックを済ませ、靴底の消毒と手指の消毒をしてからバスに乗り込みます。参加者は全員で23名ですが、感染予防の観点から貸切バスは大型を選び、家族単位で座ります。バスの車内は座席用に透明シートで「飛沫防止パーテーション」が設置され、感染予防対策がなされていました。

◆◇栗山町「直売所・値ごろ市」見学

札幌の町並みを抜けてバスは田園地帯に向かいます。人口1万1千人余りの栗山町は農業の町として発展してきましたが、この町で生産されるお米や野菜も札幌市民の食生活を支えています。

最初にとれたて野菜の直売所「値ごろ市」を見学。農家のみなさんが、朝早くから収穫した新鮮な野菜を自らお店に持ち寄って販売している所です。

お忙しい中、代表の渕野 巌さんが出迎えてくださり、直売所の成り立ちや生産者の思いなどを聞かせていただきました。渕野さんの農園ではできる限り農薬は使わず、作物にストレスを与えないようにして堆肥有機質肥料をベースにした栽培方法で、自然と調和した野菜づくりをモットーにされているそうです。お話を聞いた後は、お買い物&夏季限定のソフトクリームを楽しみました。

▷直売所・値ごろ市

https://www.shizennouen.com/market.php

◆◇栗山町「オオムラサキ館」見学

次は国蝶オオムラサキが観察できる町営の「オオムラサキ館」へ行きました。バスを降りるとあちこちから元気よくセミの声が聞こえてきます。Rくんのお母さんが「わぁーセミの声、夏だね~」と嬉しそうに言いました。

館内では家族ごとに自由見学。お昼時だったので他の見学者はほとんどいなくて、ゆったり気分で館内の昆虫や両生類、爬虫類、フクドジョウ、シロザケやサクラマスの稚魚などを観察。受付ではオオムラサキのポストカードや可愛いバッジも買えました。

外に出るとさっそく木立の草むらでエゾゼミの脱け殻を発見。たくさん拾った昆虫大好き少年もいました。

▷オオムラサキ館

http://www.kuriyama-iju.com/life02.html

◆◇栗山町「雨煙別小学校コカ・コーラ環境ハウス」ランチタイム

みみすまにとっては懐かしい一年ぶりの雨煙別小学校です。元々小学校だった校舎を閉校後は環境教育や野外教育の体験施設として運営されていて、今ではとても珍しくなった木造2階建て校舎が美しい姿で保存されています。宿泊も可能な施設なので「北海道宿泊学習」では3年間お世話になりました。

ここもコロナ禍の影響でしばらく休業を余儀なくされていましたが、6月から再開し、感染予防対策に努めながらプログラムの運営を行っています。今回の元気塾リフレッシュ保養の企画を思い立ったのも、雨煙別小学校の運営再開を知ったからでした。木のぬくもりを懐かしく感じることができる建物に元気塾の子どもたちや保護者の皆さんをぜひ連れて来たいと思いました。

1階の食堂でランチタイム。お昼は直売所で聞いた渕野さんのお話を思い出しながら、「値ごろ市」さんのお弁当を食べました。あちこちで「美味しい~」という声があがり、みんなあっという間にお弁当を食べ終えました。お弁当の包装紙には「おしながき」が印刷されていて、田中さんのズッキーニとか西田さんの玉ねぎなど生産農家さんが判ります。裏側は「食べ終わったら塗り絵してね」です。今話題の「藤井聡太棋聖と勝負メシ」でしょうか(笑)。

◆◇栗山町「雨煙別小学校コカ・コーラ環境ハウス」クラフト教室

雨煙別小学校では年間を通して様々な自然体験プログラムがありますが、里山の暮らしを様々な角度から学ぶことができます。クラフト教室もその一環ですが、間伐材で薪作りをしたあとの細かな端材を利用します。

今回は小学1年生や3年生の低学年でも作れるフォトスタンドにしましたが、スタッフの向井さんからは特に小刀の使い方について丁寧な説明を受けました。フォトスタンドの見本を手にしているのはスタッフの藤本さんです。福島県福島市の出身で、みみすまの活動にもとても理解を示してくださる心強い存在です。

大人も子どもも若者もみんなでフォトスタンド作りを楽しみました。普段は捨ててしまうような細かな枝もこんな風にオリジナルフレームに変身します。久しぶりに自分のための工作をした大人たちが一番癒やされたと思います。

▷雨煙別小学校コカ・コーラ環境ハウス

http://uenbetsu.jp

◆◇栗山町 特別体験教室「アイヌの歴史と文化を学ぶ」

「北海道宿泊学習」では川俣町の小学校と地元栗山町の小学校の地域間交流授業も行いました。そして地域間交流のあとは、毎回、樺太アイヌ協会の楢木貴美子さんに「アイヌの歴史と文化を学ぶ」特別授業をお願いしていましたが、今回も楢木さんには特別体験教室を快くお引き受けいただきました。

アイヌは樺太アイヌと北海道アイヌと千島アイヌに大きく分かれます。特に樺太アイヌと北海道アイヌの違いは伝統衣装や口琴を比較するとよく判ります。樺太アイヌは中国大陸の人たちと古くから交易を盛んに行ってきたので、鉄の文化を持ち、民族楽器の口琴は鉄製でカーニムックンといいます。一方、北海道アイヌの口琴は竹製でムックリといい、音色が全く違います。樺太アイヌは交易で得た絹糸で衣装には美しい刺繍をします。楢木さんからは衣装を比較した文化の違いについても説明がありました。

一方的に日本人に同化させられた樺太アイヌの人たちは第二次世界大戦で日本がロシアに負けたため、樺太から日本人と共に日本本土へ引きあげさせられたことなどもお聞きしました。おりしも広島や長崎の原爆記念日の時期です。戦争と平和を考える意味でも大事な機会になりました。

後半はカーニムックン(口琴)やトンコリ(弦楽器)の演奏を聴かせていただき、みんなで大きな輪になってアイヌの踊りを体験しました。

そして最後に今日の思い出になるようにと、家族ごとに伝統衣装を着て記念撮影もさせていただきました。

◆◇第15回元気塾の最後に・・

コロナ禍の影響で今年は卒業式も入学式も簡略化され、長い自粛生活がようやく終わって再開した学校生活は、友だちと仲良くスキンシップもできない不自由な世界になりました。そして今まで一緒に元気塾を運営していた先生たちが、コロナ禍の学校現場で奮闘されていることも痛感しました。

特別企画を準備していく日々は、感染状況の変化を見極めながら情報確認に神経を使いましたが、当日の栗山町では大きく広がる青空を眺めて、私たちの心もどんどん明るくなりました。

まだしばらくは感染症予防の日々が続きますが、今回参加されたみなさまも、諸事情により参加できなかったみなさまも、どうか健やかにと願っています。

貸切バスを担当いただいた運転手の工藤さん(時計台バス)の安全運転と感染予防のご配慮に感謝します。特別企画実施にあたり、札幌友の会様はじめ応援いただいた多くのみなさま、栗山町のみなさま、本当にありがとうございました。

みみすま事務局一同

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