川俣町立富田小学校5年生『北海道宿泊学習』

今年第3回目となる移動教室が無事終了しましたのでご報告します。
これは福島県川俣町教育委員会とみみをすますプロジェクトが協議を重ね、
「北海道宿泊学習」を1学期内のカリキュラムと位置付けて、学年の児童全員が参加するものです。
川俣町の小学校を毎年1校ずつ一巡させる5ヶ年計画で2015年度からスタートしました。
 
<第3回移動教室>
川俣町立富田小学校5年生『北海道宿泊学習』
日程:6月26日(月)~29日(木) 3泊4日
実施地域:北海道栗山町、北海道札幌市
参加人数:5年生17名、引率教師3名 計20名
 
 
1日目:
子ども達のほとんどが飛行機に乗るのも北海道に来るのも初めてでしたが、全員元気に千歳空港に到着。
栗山町のコカ・コーラ環境ハウス「NPO法人雨煙別学校」での入所式と昼食の後、
町を代表して南條教育長さんから歓迎のご挨拶を受けました。
 
栗山町教育委員会や栗山小学校など地元の方達の前で、
富田小学校の子ども達はグループごとに川俣町の歴史や文化を発表し、
最後は中米の楽器ケーナの演奏も披露してくれて素晴らしい歓迎交流会となりました。
 
その後、いよいよ宿泊学習プログラムのスタート。
雨に降られることなく薪割りや野外炊飯も順調にこなし、
飯ごうで炊いたご飯とダッチオーブンで作った料理をお腹いっぱいいただきました。
2日目:
午前中の渓流釣りでは、全員が餌を付けることや釣り糸のさばき方を学び、
次々と上手く釣れて、男子も女子も全員が熱中していました。
釣り上げた魚を自分達でさばき、から揚げにして食べるという「自然界から命をいただく」体験でした。
午後からはEボートに乗ってグルーブごとに川下り。
仲間同士でゴムボートを膨らまし、一緒に力を合わせて漕ぐことを学び、
実際に20分余りの川下りをしながら、いつもは観たことのない川の様子、そして川辺の様子を体感しました。
 
夕食前に栗山町教育委員会の森次長さんが大きな栗山産メロンを沢山届けてくださいました。
歓迎交流会での子ども達の発表がとても素晴らしかったのでその返礼にと、
森次長さんも栗山町のメロン栽培の歴史を富田小学校の子ども達と同じように手書きの紙で発表してくださいました。
この発表に子ども達はビックリです。そして栗山産の美味しいメロンをみんなで幸せいっぱいご馳走になりました。
 
2日間のプログラムを運営していただいたNPO法人雨煙別学校のスタッフの方達の対応は、
プログラムごとの工夫も素晴らしく、危険を伴うEボートの川下りの際は、
他の町からの指導員の応援体制も整えられて安心してお任せできました。
女性スタッフのFさんはなんと福島市出身の方でした。
富田小学校の子ども達(特に女子達)は、野外学習の現場で活き活きと活躍しているFさんに憧れの視線を送っていました。
3日目:
名残惜しい栗山町をあとにして、札幌に移動。
大倉山シャンツェの展望台から札幌市を眺め、田園地帯の栗山町とは全く違う大都市の様子を体感したあと、
子ども達はウインタースポーツミュージアムの体験コーナーを満喫しました。
 
午後からは北海道大学のキャンパスに移動。
樺太アイヌの語り部として活躍されている講師の楢木貴美子さんと正門前でご対面。
ゆっくり歩きながら、大学が出来る前の明治初期まではここにアイヌのコタン(集落)があったことなどを学びました。
埋蔵文化財調査センターで学芸員の方から土器などの展示物の説明を受けた後、博物館に移動。
楢木さんから一時間ほどアイヌの歴史や文化について教えていただきました。
特にどういう物を採取して食べていたのか、色々な木の実を実際に見せていただいたり、
北海道アイヌと樺太アイヌの2種類の口琴演奏も聴かせていただきました。
最後にサプライズゲストとして北海道大学大学院で学んでいる石原さんが登場。
大学院でアイヌとしての研究を行っている石原さんのお話も聞かせていただき、
子ども達はアイヌの方達のことがより身近に感じられた様子で質問も沢山でました。
 
4日目:
宿舎から真っ直ぐ千歳空港へ。
子ども達は修学旅行と同じようにお土産買い物タイムを楽しみ、お昼ご飯も空港内で済ませて帰路につきました。
(富田小学校では修学旅行は特にないのだそうです)
午後4時ころ、引率同行された小山校長先生から「無事帰ってきました」とお礼のお電話がありました。
 
* * *
 
今回の富田小学校5年生17名と引率の小山校長先生、担任の猪狩先生、養護の三浦先生みなさんと過ごして、何よりも一番感心したことは、毎日、子ども達自身がプログラムを主体的に創り上げていく姿でした。
猪狩先生はこの学年を3年生の時から担任し、当時はかなり大変な状況だったそうですが、
一人一人の心をほどき、ひとつひとつ積み上げながら育ててきた学級なのだそうです。
 
昨年までは担任の先生の出番が二の次だった事がこの移動教室の反省点のひとつでもありましたが、
今年度は正に「移動教室」そのものの姿で、みみすまも雨煙別学校もそのお手伝いをする役割だということが明確になりました。
 
今年度から受け入れ地域としてお願いした栗山町側からも、今回の富田小学校との交流は素晴らしかったと評価をいただき、
来年度の計画も早目に話し合いましょうと言っていただきました。
 
今回は新たな地域で新たなメンバーとの組み立てでしたので、実のところ大変神経を使いましたが、
色々な方達のご協力のお陰様で、無事終了することができました。
富田小学校の20人の皆さんが「北海道に行けて本当に良かった」と思って下さっていることが何よりも嬉しいことです。
*ケーナ演奏の写真のみ 栗山町役場総務課広報・防災・情報グループ 田畑氏 撮影

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