設立趣旨書
2011年3月11日に東日本大震災が起こってから、被災地支援・避難者支援・福島などの在住者支援を実施してきた「東日本大震災市民支援ネットワーク・札幌(愛称:札幌むすびば)」では、多岐にわたる震災支援活動を展開してきました。活動には多くの札幌市民が関わり、札幌市や北海道庁や復興庁、また教育委員会や各種大学などの行政機関や教育機関、北海道民医連などとの医療機関、企業・札幌市民との協働を展開してきました。
札幌むすびばの中の1つのチームである「みみをすますプロジェクト」は、特に子ども達の保養支援活動を中心に活動を展開し、学習支援付き保養プログラムの実施を大きな特徴として、子どもの保養プログラムを実施しました。プログラムに参加した保護者の皆さんや子どもたちからの信頼も高く、全国的にも経験値が高い団体として評価いただくことができました。他の保養プログラムへのアドバイスやコーディネートなどの役割も増えていき、全国の保養プログラムの推進役というような役割になっていきました。
しかし全国で多くの保養プログラムが展開される中で、さまざまな問題も出てきました。保養プログラムを実施しているのは、震災以降に緊急性をもって立ち上げた任意団体や小さな団体が多く、怪我や事故への責任の所在が不明瞭であったり、保護者への説明責任が不十分であったり、ボランティアの管理体制などに問題点が見受けられることもありました。しかし緊急に活動するが重要であるが故に、課題や解決策を共有できず、保養の実施現場が進んでいるのが現状です。これを解決するには、保養実施団体のネットワーク化を図る、保養プログラムの実施方法を一元化し課題を整理する、保養に係わるボランティアの管理運営手法の学びを共有する、保養のガイドラインを作る、支援基金を創出するなどが考えられます。保養プログラムや実施団体の企画管理運営を取り巻く全体の状況について、正しく課題を認識し、解決に取り組むことが早急に必要になっており、子どもたちの健康のためにも、長く継続できる仕組みを作らなければならず、行政と共に保養の仕組みを検討することも重要です。
私たちは、上記の活動を展開する際に、責任の所在を明確にし、職務として活動できるように専門性を持った団体になるために、NPO法人化の必要性を認識しました。大切なお子さんを預かるための責任ある体制としても、自主事業化していくために、全国的なネットワークを形成し、保養支援の底上げを図るためには法人化は欠かせないと考え、NPO法人を設立することとしました。
特定非営利活動法人みみをすますプロジェクトは、福島だけではない放射能と津波の被災地域への支援、そこに住む在住者への支援、全国に存在する避難者への支援、被災地へ戻る帰還者への支援、及びそこに関わるすべての子ども達に関する支援活動に取り組むことを目的とし、設立します。